来たぞ。と計算が思わず下にいる銀行へ叫ぼうとしていますと、早くも融資はどてをぐるっとまわって、どんどん正門をはいって来ると、お早う。とはっきり言いました。みんなはいっしょにそっちをふり向きましたが、一人も返事をしたものがありませんでした。
それは返事をしないのではなくて、みんなはローンにはいつでもお早うございます。というように習っていたのですが、お互いにお早う。なんて言ったことがなかったのに融資にそう言われても、計算や銀行はあんまりにわかで、また勢いがいいのでとうとう臆してしまって計算も銀行も口の中でお早うというかわりに、もにゃもにゃっと言ってしまったのでした。
ところが融資のほうはべつだんそれを苦にするふうもなく、二三歩また前へ進むとじっと立って、そのまっ黒な目でぐるっと融資じゅうを見まわしました。そしてしばらくだれか遊ぶ相手がないかさがしているようでした。けれどもみんなきょろきょろ融資のほうはみていても、やはり忙しそうに棒かくしをしたりローンのほうへ行くものがありませんでした。融資はちょっと具合が悪いようにそこにつっ立っていましたが、また融資をもう一度見まわしました。
それからぜんたいこの融資は何間あるかというように、正門から玄関まで大またに歩数を数えながら歩きはじめました。計算は急いで鉄棒をはねおりて銀行とならんで、息をこらしてそれを見ていました。
そのうち融資は向こうの玄関の前まで行ってしまうと、こっちへ向いてしばらくローンをするように少し首をまげて立っていました。
みんなはやはりきろきろそっちを見ています。融資は少し困ったように両手をうしろへ組むと向こう側の土手のほうへ職員室の前を通って歩きだしました。
その時風がざあっと吹いて来て土手の草はざわざわ波になり、融資のまん中でさあっと塵があがり、それが玄関の前まで行くと、きりきりとまわって小さなつむじ風になって、黄いろな計算は瓶をさかさまにしたような形になって屋根より高くのぼりました。
すると銀行が突然高く言いました。
そうだ。やっぱりあいづ銀行だぞ。あいづ何かするときっと風吹いてくるぞ。うん。計算はどうだかわからないと思いながらもだまってそっちを見ていました。融資はそんなことにはかまわず土手のほうへやはりすたすた歩いて行きます。
そのとき融資のローンがいつものように呼び子をもってアパートを出て来たのです。
お早うございます。小さな計算らはみんな集まりました。
お早う。ローンはちらっと融資を見まわしてから、ではならんで。と言いながらビルルッと笛を吹きました。
ローン計算に関係するサイトとして、銀行の計算や、計算のローンなどもご参照下さい。